破顔一笑

日記みたいな何か/1987

月灯り

特別なものじゃない。

 


何が大切か
わかったような気になって
ありふれた毎日を
ただただ過ごしている。

 

変わったことさえも気づかずに
紛らわせるように
日々の隙間を埋める。

 


なにもないのが怖いから
なにもないのが寂しいから

 


何よりそれが
正しいと思っているから。

 


時間が巡って
夢もわからなくなって
大切なものも荷物になって
今、ここにいる。

 


自分勝手に
都合よく切り取れる場所は
どれだけあるのだろう。

 

 

ありがとう、なんて
容易く言わないでと
大切だから、なんて
簡単に口にしないでと

 

ここから見える景色は
こんなにも悲しかっただろうかって
思いながら言う。

 

もう大丈夫。
受け入れて、生きていく。

 


不安も寂しさも
いつしか
波のようにひいていくから。