破顔一笑

日記みたいな何か/1987

今日という日を

12月17日
僕にとって節目の日です。


ちょうど10年前
僕にとって大きな大きな
第一歩の日。


ホルモン注射を
初めて打った日なのです。


僕の中では
治療を始めた日。

 

当時高校3年生だった僕は
カウンセリングよりも前に
ホルモン注射を選びました。


といっても当時は今のように
世間の認知度や
病院の情報量も少なく
簡単なものではありませんでした。


ただそれでも
僕は注射を打つ日に至るまで
毎日毎日毎日調べていた。


治療はどんなものがあるか
ガイドラインとはどんなものか
治療の進め方
注射をすることによる効果や副作用
もっといえば
LGBTとはなにか
FTMとはなにか


その頃は今のように
パケット通信に定額制がなく
携帯代にびびりながら(笑)
いつも寝る前にいろんな人の
ホームページを見ていました。


そして
いろんなことを考えた上で
自由治療、という
ガイドラインに沿わない方法で
治療していこうと決めて
動き出しました。


決めてからの行動は早かった
進路も決まっていたから
バイトを始めて
その給料から電車代と注射代を確保。


そして、家族には
カミングアウトしていなかったので
すべて内緒で。


あの時
診断書もない18歳の僕に
注射を打ってくれる病院
それは東京にありました。


生まれも育ちも群馬の田舎
東京なんてひとりで
行ったことありません。


もっといえば
電車もほとんど乗らないし
高崎(群馬の都会)にすら
行かないから
東京なんて、、、と。


でも当時の僕は
不安や怖さよりも
「変わりたい」が大きくて。

 


片道約3時間。
乗ったことのない電車
ひとりでしたことのない乗り換え
でかすぎる新宿駅
人混みの激しさ
改札が多すぎて場所わからず


初めて新宿駅についた瞬間
ほんとにびっくりしたのは
今でも覚えている。


そこから
メトロに乗り換えだったんだけど
全然わからなくて戸惑ったなぁ。


最寄りの駅から病院までは
地図を作っていったから
スムーズに行けて安心した。


小さな街の病院、という印象。


受付で
「ホルモン注射を打ちたいんです」
と小さな声で言った
ちょっと、声が震えてしまった。


先生と話して

性同一性障害かぁ。
じゃあ君はどうしたい?」


先生がそれを理解した上で
自分の意志で選択させてくれる
そのことが僕にはすごく嬉しくて
有り難いと思った。


注射を打つときに看護婦さんが

「これがデビューだね」

という言葉は今でも忘れない。


病院の滞在時間は45分ほどで
打った直後は
なんだか身体が熱くなった気がした。


そこから
来た道を辿って帰る
寄り道などはしない
東京にきた理由は済んだから。


移動時間、往復約6時間。
長かったけど、得たものの方が
とてつもなく大きく感じたから
そんなに苦ではなかった記憶。。。

 

ちなみに
注射を初めて打った日から
8年後の12月17日に
僕は子宮卵巣摘出手術を受けました。


それもあって
12月17日という日を
特別な日と感じずにはいられません。

 

 

 

 


12月17日
僕のスタートの日
10年後なんて考えられなかったし
未来も見えなかったけど
ただ今こうして
戸籍変更まで終えられていることも
家族や周りの人たちに支えられて
理解してもらえて
楽しく生活できていること
すべてに感謝しています。


当たり前なんて、ないんだなと。
この歳になって
感じることがたくさんあります。

 

なんとなく
いろいろ振り返ってみたけど
10年、濃かったなぁ。


気持ち新たに、頑張っていこう。
まずは仕事!
自分次第。頑張る。

 

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